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メキシコ、カリフォルニア、日本 暮らしへの好奇心は尽きない
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俺とアメリカ



誰もが人生のどこかでアメリカと出会う。
僕のそれは小学生1年の頃、韓国ソウルでだった。

当時漢江のそばに、“リバーサイドアパートメンツ”と呼ばれる
外人向けの集合住宅群があった。住民はアメリカ人、欧州人、
そして日本人。トイレとバスが二つずつある典型的なアメリカン
スタイルアパートメンツだった。ゴミはキッチン側のダストシュート
から生ゴミをそのまま放り込むと、一階のゴミ溜めにそのまま落下して
ゆき、1階の床に激突しぶちまかれるというなんともアメリカンな様式で、
残飯の宝庫のせいか子猫のように太ったドブネズミが数多く生息し、それに
目がけて石を投げつけるのが日課だった。

家では、砂嵐気味のアメリカ放送に夢中になった。"白バイ野郎
John&Punch"、"SWAT"、"超人ハルク"などなど。この頃、親の
財布からお金を無断でお借りし、特大サイズの戦艦のプラモデルを
大人買いし親に怒られまくるというアメリカンな事件が勃発する。

さて、そんな敷地内で多くのアメリカを見かけた。
先ず車。敷地に住む軍関係者が本国から車を持ってきて乗っていた。
ときは70年代。マッスルな見たこともない車があちこちに停まって
いたが、ゴンザレスさんの車がヒップでいかしてたからかそれとも
あまりにもおんぼろだったのか理由はとっくに忘れたが、“ゴンザレスさん
の車”というフレーズだけが今も脳に刻まれている。

次に敷地内のプール。夏になるとプール好きのアメリカ人でごった
返していたが、小僧の僕らも連れだってよく行った。そこで覚えている
のは体重が150㎏は優に超えていたであろうティーンエージャーがいて、
そいつがまたおっかない顔をしてて、気が向くと寝そべっていたチェア
からムクッと起き上がり飛び込み台の踏板が折れそうになる位しならせ
2メートル下の水中目がけて飛び込む姿だ。そのド迫力たるや数十年経った
今でもごくたまにそいつが夢に出てきてうなされる。

敷地内にはアメリカンな店舗トラックがやってきて、アメリカ人
だけがその中に入りドルで買い物が出来た。遠目で見てるとアメリカ人
の子供が見たこともないお菓子をしこたま抱えてトラックから出てくる。
食べると口が真っ赤っかになるアイスキャンディーがうまそうで
うまそうで、2度ほど東洋系アメリカ人の子供に成りすまして奇跡的に
そのアイスにありつけたことがある。そのパッケージの柄とアイスの
味と香りはまさにカルチャーショックだった。アメリカが強烈に内部に
侵入してきた瞬間だった。

ある日敷地内に、ヤンキー小学生の踊り子達がアメリカ人慰問にやって
きた。"raindrops keep falling on my head"をバックに、傘を
使って踊るミニダンサーのあまりの可愛さに、同じ小学生だったアジアの純真
少年達はすっかり参ってしまい、見終わった後も口をポカンと開けたまましばらく
放心状態で動けなかった。その瞬間、自分の中の好きな子ランキングがそれまで
のクラスメートの女の子から踊り子のひとりにいとも簡単にスイッチしたのは
言うまでもない。

アメリカは手ごわいぞ。
その圧倒的なパワーで迫り来て、あなたの心に卵をびっしりと
産み付け、風のように去ってゆく。

10年、20年が経つ頃には、卵から孵ったアメリカが
あなたの心の中にしっかりと住みついているんだ。
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WELCOME TO Move On

異文化と自然を愛するイグアナ楽団のページへようこそ。これまでメキシコとアメリカに合計10年住んできました。それ以来人生の歩き方をテーマとして追い続けています。海外を旅するといつも考えさせられる豊かさとは何か。それについて思ったことを書いていきます。
プロフィール

HN:
イグアナ楽団
性別:
男性
自己紹介:
好きな言葉:「生きていくうえでもっとも大切なことは、自らを律し、可能な限り自分に正直であること」
by Robert Redford

mail : cocovenice@gmail.com
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