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メキシコ、カリフォルニア、日本 暮らしへの好奇心は尽きない
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魂のハーモニカ吹き TONG SON



ホーチミン滞在中は二夜続けて市中心部のチョンドン公園にある野外歌謡ショーに通った。ここでは通年に渡り、毎週木土日に20時から22時まで、TV出演クラスの歌手によるショーが行われている。歌手は一人1~3曲歌うと次々と次に代わって行き、その間に漫才や超人ショーなども行われるので飽きることはない。入場料は6万ドン(3ドル)だ。

20時ごろ入ると適度に人は入っているがそれでもステージから10mほどの席が空いている。周りを見ると、カップルがいる、家族連れがいる。二人組のおじさんなんかもいる。「仕事を終えてフォーにビールで腹ごしらえしてきました!」ってな感じで駆けつける大人たち。親に買ってもらった電気で光る風車を得意げに見せびらかすメガネちび。モロコシと格闘している丸刈り。空には真ん丸お月様。そこには懐かしい昭和の風が吹いていた。

化粧が濃い目の美人姐やが派手なアクションを取り入れたアップテンポの曲で会場の温度を2度上げると、照明が暗くなりスモークが撒かれはじめた。バックバンドがBGMを演奏し始める。その中を一人のふた昔くらい前のデザインのダークスーツに赤シャツを身にまとった哀愁を帯びたおっさんがゆっくりと降りてきた。なんかくさいな~。

それがトンソンとの初めての出会いだった。

ゆっくりとエレガントにステージ中央に進み出たトンソンが、マイクスタンドの調節にとりかかる。エレガント調のBGMが流れる中、観客はリラックスしている。これから演奏が始まろうとしている。

そのとき死神の魔手はすぐ近くまで伸びていた。調整がうまくいかず、一段目のネジを回していたトンソンがあきらめ、二段目のネジに移る。思いのほか時間がかかっているため、観客が異変に気づき始めた。皆固唾をのん見守る。座席は静まりかえり、緊張感が走る。落ち着き払った態度のトンソンにもさすがに少し焦りの色が見え、あちこちいじり始めた。

そのときだ。「ボコッ」という鈍い音が会場に響き渡り、スタンドが真ん中から折れたのだ。会場は一瞬シーンとなった。が、すかさず最前列に陣取ったおばばがけたたましい笑い声をあげた。それにつられて会場のあちこちから笑い声がもれた。みんなの緊張の糸が切れたのだろう。自分も抑えることが出来ずに吹き出していた。

そんな失態にもめげず、トンソンは落ち着いていた。代わりのスタンドが据え付けられ、バックミュージシャンに目をやると静かに演奏し始めた。実は本当の驚きはここから始まった。

“ゾゾゾ”
そのハーモニカ(以下モニカ)から出てきた音色に鳥肌が立ったのだ。哀愁を帯びたその音は、とても豊かで深く、説得力があった。音の一粒一粒がくっきりしていて明確で、不思議な力強さを伴ってぐいぐいと心に突き刺さってくる。まさしくそれは、長年かけてひとつのことに打ち込んできた本物だけが持つ音だった。

トンソンはその後、鼻で吹いたり、縦に吹いたり、鼻と口で2台を同時に吹いたり、ビールを飲みながら吹いたりというウルトラ技まで披露してくれた。そのショーマンシップ振りに彼が経てきたであろう苦労が偲ばれた。久しぶりにカッコいい男を見た気がしたよ。

帰国前に市内でトンソンのCDを買い求めた。英語がしゃべれなかったCD屋のおばちゃんは、僕がハーモニカを吹く真似をするとすぐに彼のCDを出してきた。相当有名なのかもしれないぞトンソン。探していたCDに出会えて喜ぶ僕を見て“いけるっ!”と思ったのかおばちゃんはABBAのCDも一緒に買わせようと薦めてきた。いるかそんなもん!

トンソンのステージでは何が起こるか分からない。いきなりズボンがずり落ちたり、いかった愛人がステージに乱入してくるかもしれない。でも慌てちゃいけないよ。それでも彼は冷静にハーモニカを吹き続けるのだから。そのステージは、ダンディズムとは何かを教えてくれる。
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ベトナム人ってどんな人たち?



初めてベトナムを訪れる日本人は皆一様に町を走るバイクの多さに驚かされる。人口8千万の国ベトナムに走るバイクの数は5千万とのこと。携帯電話の普及率並みにバイクが行き渡っていて、まともに歩いている人は少ない。そして朝夕のラッシュ時間以外にも昼間や夜も衰えることなくバイクが行き交っている。GDPが1000ドルちょいほどの国でそんなに駆けずり回らなきゃならないほど仕事してるのか疑問に思ってたら、実は用もないけど気晴らしにバイクで町を流しているのだとある本に書いてあり妙に納得した。

ベトナム人っていったいどんな人達なんだろう?
早速明日香出版から出ている「ベトナムのことがマンガで3時間でわかる本」を借りて読んでみた。それによると「好奇心と向上心の塊でブランドが大好き」、「したたかで超現実主義」、「集団よりも個が強い」なんだって。そこに地域性が加わる。例えば北部は「共に詩を吟じる仲間や時間」、中部は「土地や金」、そしてホーチミンのある南部は「仲間と楽しく過ごすこと」を大切にするらしい。

さて、僕が直接知ったひとつのベトナム人の姿は次のようなもの。連泊したホテルスタッフのタンと友達になり、ある日ご飯を食べながら聞いてみた。彼は27歳の中国系ベトナム人でホーチミン中心部から10kmの郊外の家に両親兄弟兄夫婦総勢6名で住んでいる。ちなみに彼は月100ドル稼いでいる。

「ねえタン、将来何かしたいことあるの?」
「別にないな。今の仕事を続けると思うよ」
「何か夢とかないの?今頑張って将来手に入れたいものとか」
「俺が大切なのは仲間と楽しむことなんだ。お金持ちになったとしても、もうそのときに楽しむことが出来なくなってたとしたら意味ないよ」

これが若さから来る発言なのかベトナム人気質なのかは最後まで分からなかった。だが2日続けて通った屋外歌謡ステージに集い、げらげら笑い転げている老若男女を見ていて、今この瞬間をマックスに楽しもうとするベトナム気質のようなものが存在するのが分かった。

その他、僕が感じたベトナム人は、クール、本心は見せない、金
(ゴールド&銭)大好き、リラックス、子煩悩、けんかのとき
のど迫力、交渉タフ、ガッツがあるなど。それらは甘い練乳が底に
溜まったベトナムコーヒーを絶えず補給しながらホーチミンをねり歩き、
バスに乗り(間違って郊外行きに乗り1時間歩く羽目になった)、
バイクタクシーに揺られ(これ最高!ジェットコースターよりたのし)、
この目で見て体験して感じたことだ。
ベトナム食い倒れ



























ベトナムに行く前は、ベトナム料理=エスニック料理だと思ってた。日本料理と聞かれて寿司と天ぷらしか知らないアメリカ人のように生春巻きとフォーくらいしか知らなかった。とてもアメリカ人を笑えたものじゃない。ところがベトナムに着いて、その食の現場を見て驚いた。食材の豊かさとその豊富な量に。そして食べることを楽しんでいる現地の人の姿に感動すら覚えた。

さて、どんなものを現地の人は食べているのだろう。どうやら朝は屋台でフォーをかっこむ人が多いようだ(1杯3ドン前後=1.5ドル程度)。このフォーは一日中食べられているようだけど、店で食べると数種類のハーブが付いてくる。ミントやレモングラス、コリアンダー、バジル、どくだみ、そして何だか知らない葉っぱもよく見かけた。麺の種類も米麺以外に小麦の麺、それに太さも色々あり、汁のあるものやない物などかなりバラエティに富んでいる。

そして昼。現地の人は通りに椅子を並べた簡易食堂で定食を食べるのだ。店の規模により5~30種類程度調理された料理が屋台もしくは店に並ぶ。それを見て頼むと、ご飯の横に2品程度載せてくれるのだ。これで3~5ドン(1.5~2.5ドル)。これが調理の仕方や味付けが俗にいう中華料理そのもので日本人の口にかなり合う。この定食屋巡りはほんと楽しかった。

夜はというと、通りを歩くと道ばたに低い椅子をざっと並べたところに仲間やカップルで陣取り、魚介類を炭で焼いたのやら旨そうな料理をつまみながら氷入りジョッキに注いだビールを飲んで楽しくやっている。外で大勢で食べるのでとにかく活気があるのだ。もしかしたら毎晩こんな感じなんじゃないのかな。仕事を終えると貝を焼いたのをつまみにビールを流し込んでひとしきり楽しんだら、バイクをすっ飛ばして家に帰る。そこには酔いが冷めるような高い勘定も、長時間の電車の帰宅もない。あるのはバイクでピューだ。

現地の人の一日の食の流れを簡単に書いてみたが、自分が見たのはごく一部でしかない。それ以外にもいろいろなものがあった。屋台でいえば、フランスパンに焼き立てタマゴと肉とその他もろもろをはさんで作ってくれるサンドイッチや肉まんもよく見かける。パンは、噂通り特筆する旨さだ。菓子パンからフランスパンまで町の至る所にある。またパッションフルーツも日本からの旅人にとっての楽しみだ。ドリアン、マンゴー、パパイア、ジャックフルーツ、ドラゴンフルーツ、マンゴスチン、スターフルーツ。僕はマンゴスチンにはまり、ホテル近くのフルーツ屋で毎晩どっさり買って帰るのが習慣になった。値段はキロ6万ドン程度(3ドル)。寝る前にそれを食べるのだが、かじりかけをそのまま置いて寝たある日、朝起きると白いフロアーに黒い線が走っている。何だ?と思って近づいてみると蟻の大群だった。

ベトナムはとにかく、人から虫まで食べることに忙しいのだ。



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WELCOME TO Move On

異文化と自然を愛するイグアナ楽団のページへようこそ。これまでメキシコとアメリカに合計10年住んできました。それ以来人生の歩き方をテーマとして追い続けています。海外を旅するといつも考えさせられる豊かさとは何か。それについて思ったことを書いていきます。
プロフィール

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イグアナ楽団
性別:
男性
自己紹介:
好きな言葉:「生きていくうえでもっとも大切なことは、自らを律し、可能な限り自分に正直であること」
by Robert Redford

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