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メキシコ、カリフォルニア、日本 暮らしへの好奇心は尽きない
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ベーカー高原を渡る風



レバノンの『バールベック遺跡』をぜひ見たいと思い、シリアのホムス(HOMS)からレバノンの北部の国境越えのルートを選んで向かうことにした。

実はこの国境越えが実現する前日は大変だった。滞在していたアレッポからホムスにバスで移動し、そのバスターミナルから国境越えの乗り合いタクシーがある小さなターミナルまで10分ぐらいで着いたまでは良かったのだが、乗客が3人ほどしか集まらずタクシーの運転手に『お前があと二人分払ってくれないか、そしたら出発する』と持ちかけられたのを断って結局5時間つぶすことになり、その日は国境越えのタクシーは終ってしまったのだ(結局的にこのオプションを取っていれば安くついた)。

夕方になり気温も冷え込んで来たのでしょうがなく町まで戻って1泊し翌朝出直すことにした。そこで通りに出てタクシーをつかまえたのだが、降りるときにトラブルを起こしてしまい刃物沙汰にまで発展する羽目になってしまった。

そんな一日をつぶして臨んだ2日目だったが、結局3人分の料金でタクシーをチャーターしてヨルダンへと出発した。お陰で前のシートにふんぞり返って国境越えの手続きもひとりなので早く済み、おまけに途中ドライバーの新築の家まで見せてもらい(驚いた。日本でいう5LDKの家で庭は広く、石をふんだんに使った豪邸だったんだよ。)、ダイレクト超特急で2時間少しでレバノンに着くことが出来た。お金で買える時間もあるんだね。

さて、上の写真はレバノンに近づいたときに窓から撮ったもの。手前に見えるのは『ベーカー高原』だ。その後ろに雪を抱いているのがレバノン山脈でこのあたりはレバノンワインや良質なレバノン杉の産地としても有名。この山脈のすぐ裏がベイルートで地中海に面している。

ベーカー高原って名前はそれまで何度か新聞などで目にしていた(紛争がらみで)のでドライバーが教えてくれたときは少し感動した。ここにいるのがまだ信じられなかったから。この景色を目にしたときにはもう前夜の忌々しい出来事なぞどこかに吹っ飛び、心は完全に想像の世界を彷徨っていた。

このルート、観光客もそう多くはなく中東の日常を垣間見ることが出来た。このとき、Move onの風が吹いているのをしっかりと感じた。
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接着剤より強いアレッポのまごころ



シリア国内をアレッポに向けて移動中、眼鏡のフレームが真っ二つに割れるという惨事に直面した。割れたのはプラスティック製のレンズの部分で、上着の胸ポケットに入れておいたのが何かに押されて圧力がかかって折れてしまったみたいだ。この先、レバノン、ヨルダン、エジプトとまだまだ見る物はたくさん残っている。特に博物館の中でとても困る。何とかアレッポに着いたら修理屋を探して直そうと思った。

5時間ほど乗った長距離バスがアレッポに到着すると、すぐにホテルを探してチェックインした。その日は遅かったので翌日改めて町に出てみると、ちょうど機械修理屋があったので、割れた眼鏡を見せて『どこか接着剤を売っているところか修理してくれるところはありません?』とジェスチャーで聞いてみた。すると怪訝そうな顔の兄ちゃんは、あちらの方角を指さす。そこで言われた方向へ歩いていくと、ヘアピンやら櫛やら乾電池を扱う雑貨屋があったが残念ながら接着剤類は置いていなかった。

そんな感じで、ケーキ屋や果物屋など目に付いた片っ端の店から眼鏡を見せて同じことを繰り返し聞き続けたら、ついに一軒の携帯電話屋にたどり着いた。しかしねえ、携帯と眼鏡ではちょっとジャンルが違うでしょと思いながらも、とりあえず聞いてみることにした。

ガチャっとドアを開け店に足を踏み入れると、奥の方で談笑していた一団の中から“愛くるしいぬいぐるみ”のような顔した人物がにこやかに近寄ってきて、英語で『May I help you?』と聞いてきた。そこで壊れた眼鏡を取り出し事情を説明すると、その眼鏡を受け取り奥の一団に引き返して行き、こちらへ来るように合図してきた。

奥には店主とおぼしき眼鏡の男性が、僕の壊れた眼鏡を詳細に見ている。そして引き出しから何やら接着剤のようなものを取り出すと丁寧に作業に入り始めた。その間、僕はそこにいたみんなに自己紹介し向こう側も“ミスターぬいぐるみ”が自分は医者でダマスカスから家族の用事でアレッポに来ていることなどを話してくれた。

少しして、作業を終えたらしい店主は『とりあえずくっついたと思うけど再び壊れない保証はしないよ』といいながら直った眼鏡を手渡してくれた。そこで修理代はと聞くと、笑って首を横に振るのみだ。こんな瞬間こそ旅をしていてよかったなと思える。人はどうにもならなくなって初めて驕りや傲慢さを捨て、謙虚になれる。人は謙虚になると、他人の親切がしみじみと感じられるものだ。僕も何度も礼を言うと、そこにいた皆も良かった良かったと喜んでくれた。

なぜか海外に出るとよく眼鏡を壊す。韓国でも眼鏡屋のおじちゃんにねじで修理してもらったことがある。このときもお金は受け取ってもらえなかった。そして今回もまた中東で眼鏡の難に遭遇し人の情けに助けられた。どうやら、眼鏡は次から次へと僕にいろんな経験をさせたいらしい。

それから中東を駆け巡り日本に帰ってきた今も、その眼鏡は相変わらずくっついたままだ。主人の修理の腕前もさることながら、彼らのまごころが接着剤に化学変化を起こさせたに違いない。
Dead City



シリア北西の町アレッポの近くには、Dead Cityと呼ばれる今は廃墟となったビザンチン時代の集落が点在する。上の写真はその一つ、Serjilla(セルジッラ)と呼ばれるもの。当時ここはワインやオリーブオイルの製造で有名だったらしい。かなり向こうまで続くなだらかな丘のあちらこちらに石を積み上げて建てられた5世紀から7世紀頃の建物とその残骸が散らばっている。今は住民はおらず、数組のベドウィンがテントを張って羊を放牧しながら住んでいるのみだ。ここまでは行きはスクールバス、帰りは商品輸送中のトラックに載せてもらって行き来した。辺鄙な場所のため観光客もまばらでほとんど遭遇することはない。

人が突然いなくなってしまったかのような錯覚に陥るDead City。みんなどこに行っちゃったんだろう?

カウンター

WELCOME TO Move On

異文化と自然を愛するイグアナ楽団のページへようこそ。これまでメキシコとアメリカに合計10年住んできました。それ以来人生の歩き方をテーマとして追い続けています。海外を旅するといつも考えさせられる豊かさとは何か。それについて思ったことを書いていきます。
プロフィール

HN:
イグアナ楽団
性別:
男性
自己紹介:
好きな言葉:「生きていくうえでもっとも大切なことは、自らを律し、可能な限り自分に正直であること」
by Robert Redford

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