下の2枚の写真を見比べて欲しい。


真ん中のおじさんが消えている。実はこれ、iphoneで撮った写真を、その場でおじさんを消した(何だかゴルゴになった気分)ものなのだ。その作業も実に簡単。消したい箇所に指でサッと線を引くとその部分が消え背景が自動的に修正されてしまう。
これまでパソコンの写真ソフトでちまちまやらなきゃならなかった作業が、iphoneで誰でも簡単に出来てしまうようになったことで、加工された写真が今後ますます飛び交うかもしれない。そうなると、もう誰も写真を信じなくなる日が来るかもしれない。そのことに何だか寂しさと恐ろしさを感じる。
ビジネスの世界は、常に新しいものを生み出すことにしのぎを削る世界だ。一度誕生してしまった技術はもう後戻りすることはなく、その技術がいろんなものに応用されていく。だから画像や映像加工の世界もどんどん進み、誰でも出来るようになるのは時間の問題だった。実際、テレビを点けると、人工的な笑い声が効果音として使われ虚構の盛り上がりが作られている。そして僕らはそんな虚構の世界を真実だと思い込んでしまっている。また少しそれるけれど、食品の多くも人口香料が使われていてもう素材本来の臭いなどないに等しいとも聞く。このようにどんどん虚構の世界が広まっているのが今の世の中なのだ。
また、こういういらないものを削除できる機能がiphoneのカメラに付けられたということから、“よりきれいなもの”、“より完璧なもの”を求めようとする時代性も感じる。「美しさ、快適さのためには余計なものは削る」という発想は脱毛ビジネス、野菜や果物の品種改良など今、僕たちの社会のあらゆるところで目に付く。
新しいものの登場は歓迎だが、嘘は要らない。虚構の世界は映画で楽しむに留めておこう。
PR