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メキシコ、カリフォルニア、日本 暮らしへの好奇心は尽きない
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しんどい贈り物

僕の中ではそのスープの名前を『スムール・テルール』だったと記憶している。

それは、随分昔に初めて行ったバリ島で泊まったクタコテージのレストランで食べた。鶏肉が入っていたそのスープの色はブラウンで、甘みとだしが効いた生まれて初めて経験する味だった。そして僕はこの味にずっぽりはまったのだ。

結局5日間朝からそれを食べる毎日を続けてバリ島を後にした。それ以降今日までそれを超えるスープに出会ったことはない。

もう随分前になるその旅で食べたもののことを未だに覚えているかというと、ホテルのルームクリーンの女の子と友達になりその子の実家に招待してもらって100人くらいの村の子供たちに髪の毛が全部無くなるんじゃないかと思えるくらいの壮絶なおもてなしを受けたり、借りたバイクでお化けが出てきそうなバリの真っ暗あぜ道を疾走したり、とにかく毎日何か予測のつかないイベントが起きた旅だったからだ。だから良く覚えている。

覚えているといえば大学のときに山手駅の近くに路駐していた車の中から大事にしていた革ジャンを盗まれたときのショックも昨日のことのように覚えている。その革ジャンは、高校2年の夏に軽井沢で1か月間飲食店のアルバイトをして貯めたお金で買ったものだ。当時渋谷の公園通りにあったCPカンパニー(だったと思う)で買ったイタリアのもので18万もした(当時はバブル真っ盛りでみんなどうかしていた)。

どうやら、予定通りにいかなかったことや、苦労したことほど忘れないものらしい。そして忘れないと同時に、それは長い時間の中で醸成されて、気が付くとホロッと笑ってしまうような甘いものに変わっている。それがこれまで生きてきた中で思う世のの一面だ。

もしかしたらしんどいものこそ、後になって人生を彩り濃いものにしてくれるんじゃないかな。しんどさの中を、「不満たらたらモード」で送るんじゃなくて「じっかんが、きったら、たっからものっ!」と鼻歌混じりでスキップしながら駆け抜けていけばきっとそうなると僕は思っている。だから、今「しんどいなあ」と思うようなことが起きている人もそれを嘆く必要はない。逆にそれこそ人生の醍醐味を味わっている瞬間なのだから。

だからって神様、僕にこれ以上のしんどいプレゼントを贈るのはやめて下さい。僕はもうたっぷりといただきましたから、しんどいプレゼントに恵まれない世の中の金持ち父さんたちにぜひ分けてあげて下さい。その代り、彼らの苦しみの元となる世の富はわたくしめが引き受けましょう。
その重い、重~い罪を背負ってこの世を渡っていってしんぜましょう。
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WELCOME TO Move On

異文化と自然を愛するイグアナ楽団のページへようこそ。これまでメキシコとアメリカに合計10年住んできました。それ以来人生の歩き方をテーマとして追い続けています。海外を旅するといつも考えさせられる豊かさとは何か。それについて思ったことを書いていきます。
プロフィール

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イグアナ楽団
性別:
男性
自己紹介:
好きな言葉:「生きていくうえでもっとも大切なことは、自らを律し、可能な限り自分に正直であること」
by Robert Redford

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