
日本からヨルダンの首都アンマンに着いた日の夜、早速カメラ片手に町に繰り出した。見るもの聞くもの珍しい。アートを見ているような神秘的なアラビア文字。町の真ん中にどっかり腰を落ち着ける中世からのモスク。いったいどこで着るのか首を傾げたくなるような店先に飾られてる派手な女性服。好奇心のアンテナはあちらこちらからの信号をキャッチし続ける。
ある通りでカメラを構えていると、向こう側から、大声と共にこっちに向って手を振る二人組みがいた。そこで通りを横切ってその声の主のほうに向って遭遇したのが写真の二人。気の良さそうな親子とおぼしき二人はニコニコとものすごい笑顔と歓迎のオーラを全身から発している。そこで「何だ?」と聞くと、英語が分からない彼らは、「俺たちを撮れ」とジェスチャーで答えてきた。
海外に行ってカメラから逃げようとする現地人はたくさん見てきたけれど、こういうふうに自分達を撮れと言ってきた人達ははじめてだったので一瞬面食らったけど、彼らの熱意というかまったく混じりけのない純粋さのようなものを感じて、喜んで撮らせてもらった。その間、何だか本当に嬉しそうに撮られている二人。こんな嬉しそうな笑顔見るの久しぶりだよなあなんて思いながら、2,3枚撮ってあげた。
撮影の後、二人は、「ウェルカム!」という言葉を残して夜の雑踏へ消えて行った。そのウェルカムも、英語式のじゃなくて、ルを少し巻き舌風に発音しムをンに言い換え少し余韻を残す「ウェルカンッ!」だ。実はこれ以降、中東を旅行中、いたるところで「俺を撮ってくれ」と言われ、至るところで「ウェルカン!」と言葉を投げかけられた。「ハロー」や「ハイ」じゃなくて、「ウェルカン!」なところに中東の人懐っこさのようなものが感じられて少し微笑ましくもある。
観光立国を目指す日本。子供たちに、外人を見たら「ウェルカン!」と言うように教育しよう。その一言で彼らは日本に来て良かったと思ってくれるだろうし、そこからコミュニケーションが始まる。習っても使わない日本の外国語教育にとっても効果的だと思うんだけどなあ。
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