
"midnight cabin 1am"とは、真夜中1時の飛行機の客室のこと。
個人的にこの時間の客室はライトが消されて静まり返っているが、何だかあの雰囲気が旅の途中らしくって好きなのだ。映画を観まくって寝るタイミングを失ったときなどこの時間にポカーンと取り残されることがよくある。隣のインドのおばちゃんなんか、2人分の席の中にうまく体をねじ込み、ちゃっかりと俺のひじ掛けまで占拠して爆睡している。また通路の向こうの白人のおっさんも完全に酒がまわって首を90度に曲げて沈没している。そんなのどかな時間が流れる真夜中のキャビンで、しばし漂流者気分を味わうのが好きだ。
この時間、座っているのも飽きてくるので、キャビン後方のトイレまでのろのろ歩き、長めの用を足したあと、しばしその辺でうだうだする。そして水かなんかをもらって飲むとまたよたよたと座席に戻り、深く深呼吸していろいろなことをつらつら考えたりする。このとき、ipodなんかあるとたそがれられたりして尚良い。

先ごろ、エミレーツでアンマンまで行ったときは、ちょうどアフガニスタンの上空あたりでモニターにカンダハルと表示が出た。そこで急いでipodに入ってる、懐かしのゴダイゴの”ガンダーラ”にチューンしたら、びったりと気分がはまってしまい、相当な感度でひとりたそがれてしまった。これを周りの誰かが見ていたら、相当気味悪かったはずだが、誰もが寝ている”midnight cabin 1am"ではそんなことおかまいなしに自由に泣けるのだ。
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