
店から漂う煙に混じった香ばしい香り。
暗い夜道に浮かぶ赤提灯。
特にビールの美味しいこの季節、ちょっと焼き鳥屋さんに寄り道したくなる。
さて話は変わって、僕は一人で飲食店に入るのが気にならないタイプだ。お好み焼屋からバーまで平気でひとりで入っていく。だが、以前中華街で経験した一人飯はきつかった。
その日は土曜日で時刻は午後7時ごろのゴールデンタイム。所要で中華街近くに行ったためついでに中華食べて帰ろうと思い、フカヒレで有名な店に入っていった。少し大きめのその店は入った瞬間ぎっしり混んでいるのが分かった。こりゃ無理だと思い店を出ようとすると、親切な店のおばちゃんが円卓が空いているから良かったらどうぞと勧める。一瞬やな予感がしたが、おいしそうな臭いに警戒心が緩み、おばちゃんに付いて行った。超満員の店内はどの席も家族連れかカップルばかり。一人で来ている者は皆無だ。”週末の夕食のゴールデンタイムにしかも中華に一人でかよ。寂しい奴”(ほっとけよ!)みたいな視線が突き刺さる居心地の悪い花道をずんずん行くと円卓があった。そこにはすでに3組のカップルが落ち着かなそうに座っていた。
この瞬間に今夜の選択を悔いたのは言うまでもなかった。カップル3組の円卓にひとりで相席!まじ?
注文してから料理が来るまでの時間の長かったこと長かったこと。その時間が永遠に感じられた。おまけに本当に居心地が悪かった。あまりにも居心地が悪く、あまりにも目のやり場に困ったので目がよっちゃったほど(笑+涙)。そしてよりによって円卓といういつもならみんなで楽しく過ごすのに持ってこいのテーブルの構造がそのときばかりは恨めしかった。想像して欲しい。8人掛けの円卓に、見知らぬカップルが3組と男性1人客。お互いにらめっこ状態(ちなみににらめっこは弱い)。しかも誰も話さない(にらめっこなら当然だ)。これ以上の不気味なシチュエーションもそうない。(この映像に楽しげなアップテンポの曲をつけたら相当面白いはず) その後来た料理も味など感じる余裕もなく急いで流し込んで2分半で平らげ店を出たが、何日間かは夢でうなされた。しかし、その後もうどんなところへ行っても怖くないという自信がついたことだけは収穫だった。
良い子の皆さんへ
週末の団体客で賑わう中華街の人気レストランに一人で入ってはいけません。必ずやけどします。
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