

上海の町を歩いていると肉饅頭やらシュウマイやらの屋台があちこちにあって小腹が空いた時には便利だ。2009年秋にはにはたこ焼きの屋台に遭遇して少し驚いたこともある(あの屋台のおばちゃんがどうしてたこ焼き屋台に行きついたか中国語が分かれば聞いてみたかった)。その他、中央アジアの羊肉の串焼き屋台、打ち立てつけうどんの屋台、北京ダックの屋台、チジミ風焼き物屋台などを見かけたが、食に賭ける中国人の情熱は屋台にもしっかり現れている。
そんな屋台の中で、“臭豆腐”(シュートーフと発音)の屋台はメジャークラスみたいでよく見かけた。というより臭豆腐の屋台の半径50メートルに入ると、その強烈な臭いですぐに分かるのだ。そうだな。例えて言うなら発酵させた靴下(?)の臭いかな。中国人も臭いにおいを表現するときに臭豆腐を例にあげるほどの臭さだ。
その臭いにおびえてほとんどの旅行者は近寄りもしない。しかし、小学生時代、サイン帳の好きな食べ物を書く欄に豆腐と書くくらい豆腐好きな自分は、おそるおそる近寄って行きおばちゃんに一つ頼んだ。そして鼻にふたをしながら口に入れてみると味は結構いける。カリッと揚がった豆腐に辛いソースがかかっていて、それを甘い酢漬けのキャベツと一緒に食べるとその絶妙なハーモニーにうならされた。それ以来、臭豆腐の臭いをキャッチして屋台を探すのが、上海滞在中の僕の秘かな楽しみになった。

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